これはもはや事故です!

朝です!

 カーテンの隙間から明るい日差しが差し込んで、その眩しさに、美羽はゆっくりと目を開けた。

(……ここ、どこだっけ)

 数秒の空白のあと、昨日の出来事が一気に蘇る。
 修羅場。
 怪我。
 磯崎さんの部屋。
 磯崎さんに抱き上げられたあの感触。

(……わああああ! そうだった……!TLコミックだったら、あれやこれやになってしまうような展開!)

 思い出しただけで布団の中で身を縮めたくなる。
 ……いや、縮められない。足痛いから。

 カーテン越しの光は柔らかく、どうやら少し遅めの朝らしい。

 耳を澄ますと、リビングからカチャカチャと食器の音が聞こえる。
 少しして、寝室のドアをノックする音がした。

「美羽さん、起きた?入ってもいい?」

「は、はいっ!」

 返事の声が妙に上ずってしまう。

(寝起きの私、よだれの痕があったらどうしよう……)

 慌てて口の周りを擦り、手櫛で髪を直していると、扉がゆっくり開き、磯崎が顔を覗かせた。
 スラックスに白いYシャツ、まくった袖から見える筋肉質の腕も様になっていた。

(朝から無駄にイケメンだな……。それに比べて私ってば……。)
 

「おはよう。少しは痛み引いた?」

「えっと……はい。まだちょっと痛いですけど……」

「無理しないでいいよ。手伝うから」

 そう言う磯崎の声が、朝なのに優しすぎて、美羽の心臓がまた跳ねる。
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