これはもはや事故です!
「朝ごはん、軽いもの作ったから……移動、手伝うよ」

 そう言いながら磯崎は、ベッドに居る美羽の横へ。
 近くなったその瞬間、磯崎のYシャツの胸元から、微かにオリエンタルな香りが漂う。

(近い……朝から近い……!)

 磯崎は美羽の体を支えながら、ゆっくりと立ち上がるのに手を貸した。
 
「大丈夫?痛くない?」

「はい……あの……」

( どうしよう。でも、言わなくちゃ……。)
モジモジとしながら、美羽はありったけの勇気を出した。

「すみませんっ、トイレ貸してください!」

思いきりのいい告白に、磯崎が一瞬固まる。

「……あ、うん。もちろん」

 それは普段の落ち着いた弁護士モードがどこかへ飛んだような声だった。

 美羽の腰を支えたまま、磯崎は慌ただしく立ちまわり、寝室のドアを開ける。

「ほら、つかまって。ゆっくりでいいから」

「す、すみません……!」

「いや……トイレは、我慢する方が大問題だから」

 その妙に真剣な言い方に、美羽は思わず笑いそうになった。

(でも……めちゃくちゃ恥ずかしいよぉ)
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