これはもはや事故です!
廊下へ出ると、磯崎が少し前に出て、美羽の歩調に合わせてゆっくりと進む。

「足、大丈夫?」

「いたっ……いや、だ、大丈夫です!」

「今“いたっ”って言ったよね?」

「い、言ってません!」

「言った」

「……っ」

 そのやりとりが妙に恥ずかしくて、でもちょっと楽しくて、視線が合うと自然と笑みがこぼれる。

「ここ。ドアの前で待ってるから」

「えっ!?」

 磯崎からの待機宣言に、美羽は目をぱちくりと見開いた。
 戸惑う美羽の様子に気づいた磯崎は、バツが悪そうに言い繕う。

「いや、その、違う。倒れたらすぐ助けられるようにって意味で」

「は、はぁ……」

(……そんな近くで待つの……?いや、でも確かに倒れたら怖いし……でも、ムリ!音が聞こえちゃうじゃん!)

「い、いいです!絶対に倒れませんから!!」

「でも、万が一の場合に……」

「万が一も、億が一もありません! 気合でどうにかします!」

「気合って言っても……」

「気合入れるんで!絶対に倒れませんから、磯崎さんは、リビングに行っててくださいっ!」

 まるで漫才のようなやりとりが、廊下に響く。

「本当に大丈夫ですからっ!」

 そう言って、美羽は赤面しながら扉を閉じた。

(……こんなの……恥ずかしすぎる……)
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