これはもはや事故です!
 抱きかかえられたままリビングに運ばれる。
また顔が熱く火照っていた。

「もう!!ちょっとぐらい歩けます!!」

「足首ひねってるのに歩かせるわけないだろ。……悪化したらどうするんだ」

 淡々とした声なのに、腕の支えがやさしくて、何も言えなくなってしまった。

 そして、リビングの椅子にそっと下ろされる。

「ほら。食べられそう?」

 テーブルには、湯気の立つスープ、焼きたてのトースト、ふわふわのスクランブルエッグにサラダまである。

 それを見た瞬間、胸の奥がじんわり熱くなった。

(……誰かが……私のために朝ごはんを作ってくれたの……いつぶり?)

「これ、本当に私の……?」

「うん。美羽さんの口に合えばいいけど」

 磯崎が微笑む。

(……この笑顔……優しすぎる)

 スープを一口飲むと、身体の奥までふわっと温かさが広がる。

「……おいしい!」

「よかった」

 短い言葉。
 でもその声が、朝日みたいにあたたかかった。

(すごく……嬉しい……)
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