これはもはや事故です!
「君はケガをした。俺のせいで。だから……守るのは当然だ」

 “当然”
 その言葉は誠実で、優しくて……でもどこか、距離を感じさせた。

(……責任……だよね。やっぱり)

 そう思うと、美羽の頭が、すぅっと冷えていく。

「……その責任、もう十分すぎるほど果たしてもらいました。だから、本当に大丈夫です」

 磯崎が、ゆっくり息を吸う気配がする。

(きっと、磯崎さんはみんなに優しい。だから、あの彼女たちも勘違いしちゃったんだ。私も勘違いする前に離れた方がいい……。)

「……本当に、お世話になりすぎましたし……」

 そう言って美羽が視線を逸らすと、磯崎の低い声がした。

「足はまだ完治していないし、段差のある自宅で一人は危険だ」

(……だめ。優しさで期待しちゃだめ)

「大丈夫です。気をつけます」

「気をつけても、ケガは治らないだろう」

 少し強い口調にびくっと肩が跳ねる。

(……怒ってる……? いや違う、心配して……?)

 わからなくて、胸がざわつく。

「心配かけて、すみません。でも……」

 続くはずの言葉が、喉で止まった。

(これ以上、ここに居たら勘違いしてしまいそう……なんて、言えない)
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