これはもはや事故です!

 美羽は、マンションの手すりにしがみつきながら、一段一段やっとの思いで階段を降りる。

「さあ、やるんだ。やり抜くんだ」

 自分を叱咤しながら、足を進める。けれど、足の痛みは増すばかり……。

(……冷蔵庫。なにもなかったし、食べるものくらい……自分でなんとかしないといけないんだから)

 一人暮らしの切なさをひしひしと感じてしまう。

「でも、自分の事は、自分でしなくちゃ……気合……気合」

 どうにか一番近いスーパーに辿り着いた時点で、すでに足首はじんじんと熱を持っていた。
 自動ドアをくぐるだけで、ひと仕事終えたような気分になる。

(……ここまで来たんだから)

 入口脇のカゴを手に取る。
 その動作ひとつで、足にずしりと響いて、思わず眉を寄せた。

 店内を回りながら、必要最低限のものを選んでいく。
 パン、卵、レトルト食品、ペットボトルの水。

(これだけ。ほんとに、これだけ)

 そう言い聞かせたはずなのに、気づけばカゴは思った以上に重くなっていた。

 レジを済ませ、スーパーの外へ出たところで、美羽は立ち止まる。
 レジ袋を持ち替えながら、小さく息をついた。

「……ううっ、重い……!」

 足首も痛む。
 一歩一歩くごとに、じわっと汗が滲む。

(気合があれば……何でもできる……)

 足をかばって斜めに体重を乗せた瞬間。

「わっ……!」

 フラッと体が傾いた。
 するとすぐ横から腕が伸びた腕が美羽を支える。

「大丈夫ですか!?」

「ひゃっ……!?」

(えっ?磯崎さん!?)
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