これはもはや事故です!
美羽は涙を拭きながら、ゆっくり立ち上がった。
足首がじん……と痛む。
(もう……無理かも。誰かに頼りたいよ。でも、磯崎さんに連絡したら、きっと私は、戻りたいと思う気持ちをごまかせなくなる)
手にしているスマホの電話帳アプリをスクロールしていると、ある人物の名前が目に留まった。
(……お母さんに、少しだけ甘えてみようかな)
大人になってからほとんど話していない。
けれど、今日だけは声が聞きたい。
震える指で番号を押す。
コール音がして、久しぶりの母の声が聞こえてくる。
「もしもし〜?久しぶりねぇ、美羽?」
「あ、あの……お母さん……」
「元気にしてる? ねぇ聞いてよ〜!明日からね、旦那さんと台湾旅行に行くの〜」
電話口から聞こえる母の浮ついた声。旦那さんというは、美羽の父ではなく、再婚相手の事だ。
「え、明日……?」
「そうそう!三泊四日〜!楽しみなのよ〜。あ、そうだ、美羽は何かお土産欲しいものある?」
まるで遠い親戚と話しているみたいだった。
(……ああ、そうだよね。私はもう、この人の家族じゃないんだ……)
そう思うと、石を飲み込んだように気持ちが重くなる。
「あ、ううん……お土産は……大丈夫……」
「遠慮しなくていいのに〜!あ、でもほら、あんまり高いものは無理よ?
だって私も色々お金かかるし〜」
(……どうして。久しぶりに連絡したんだから、『どうしたの?』って聞いてくれないの……?)
言いかけた“痛い”も、“つらい”も、全部喉につっかえて、消えていった。
「じゃあ、お母さん行く準備あるから〜またね!」
ぷつん。
とても軽い音で通話が切れた。
スマホを持つ手が、ゆっくり下に落ちる。
冷蔵庫の前で立ち尽くしたまま、視界がじんわりにじむ。
(お母さんには、頼れない。……やっぱり、私は誰の家族でもないんだ。こんな時ぐらい、甘えたいのに……ひとりで、つらいよ……)
足首がじん……と痛む。
(もう……無理かも。誰かに頼りたいよ。でも、磯崎さんに連絡したら、きっと私は、戻りたいと思う気持ちをごまかせなくなる)
手にしているスマホの電話帳アプリをスクロールしていると、ある人物の名前が目に留まった。
(……お母さんに、少しだけ甘えてみようかな)
大人になってからほとんど話していない。
けれど、今日だけは声が聞きたい。
震える指で番号を押す。
コール音がして、久しぶりの母の声が聞こえてくる。
「もしもし〜?久しぶりねぇ、美羽?」
「あ、あの……お母さん……」
「元気にしてる? ねぇ聞いてよ〜!明日からね、旦那さんと台湾旅行に行くの〜」
電話口から聞こえる母の浮ついた声。旦那さんというは、美羽の父ではなく、再婚相手の事だ。
「え、明日……?」
「そうそう!三泊四日〜!楽しみなのよ〜。あ、そうだ、美羽は何かお土産欲しいものある?」
まるで遠い親戚と話しているみたいだった。
(……ああ、そうだよね。私はもう、この人の家族じゃないんだ……)
そう思うと、石を飲み込んだように気持ちが重くなる。
「あ、ううん……お土産は……大丈夫……」
「遠慮しなくていいのに〜!あ、でもほら、あんまり高いものは無理よ?
だって私も色々お金かかるし〜」
(……どうして。久しぶりに連絡したんだから、『どうしたの?』って聞いてくれないの……?)
言いかけた“痛い”も、“つらい”も、全部喉につっかえて、消えていった。
「じゃあ、お母さん行く準備あるから〜またね!」
ぷつん。
とても軽い音で通話が切れた。
スマホを持つ手が、ゆっくり下に落ちる。
冷蔵庫の前で立ち尽くしたまま、視界がじんわりにじむ。
(お母さんには、頼れない。……やっぱり、私は誰の家族でもないんだ。こんな時ぐらい、甘えたいのに……ひとりで、つらいよ……)