夫のいない間に
 誰も居ない家で、新しい服を持っている服に合わせてみた。

 「似合わない……」

 鏡に映る私は、初めてスーツを着せられた幼稚園児みたいだ。

 やっぱり、私にはイーオンの服で十分なのね。とんだ無駄遣いをしてしまった。

 小さな溜め息をつき、丸めたレシートをゴミ箱に捨てた。
 ウォークインクローゼットに服を仕舞う。

 チラリ……と、夫のタンスの引き出しからはみ出た、ラルフローレンのポロシャツを見れば、ちょっとだけ衝動買いの罪悪感は薄れた。

 あの人も、服にお金をかけてたわりには、どうも似合ってなかった。

 いつも家の中では偉そうにしていたけれど、私とどっこいどっこいの人間なのよ。
 たぶん。

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