夫のいない間に
 昔、友人と訪れていたカクテルバー。
 そこで、前の仕事場の同僚と数年ぶりに待ち合わせた。
 
 カウンター席に並んで座り、とりあえず乾杯をする。

 「吉岡さん、3年前と変わらないねー」
 「そうですか? 井戸端(いどはし)さんも相変わらず学生みたいですよ」

 この井戸端さんという男性は、私に初めて″経済DV″という言葉を教えてくれた営業マンだ。
 爽やかさを絵に描いたようなソフトな男性。
 既婚者で、子供はいなかったはず。
 年齢は確か私よりも7つ下だったかな。

 二人の関係は、ただの元同僚 。
 前職場の事務職を辞めてからも、ごくたまにメールが来ていた。
 ただ、それだけだったのに、

 「どうして、私を誘おうと思ったんですか?」

 まるで、私が自由と権利を得たのを見計らったように、メールをしてきたのだから、運命さえも感じてしまった。





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