夫のいない間に
 急な雨のせいで、すっかり湿気った洗濯物を取り込んでいると、軽い、郵便受けを開ける音がした。

 思わず走ると、膝がズキッと痛み歪んだ顔のまま表に出る。郵便局員がちょっと驚いていた。

 「こんにちはー…」
 
 お互いに気まずい会釈をし、バイクが遠退くを待って郵便物を取り出した。

 【吉岡 貴士様】
 
 家主なのだから当然だけれど、殆どが夫宛ての物で、普段は、それを勝手に開封すると叱られた。

 しかし。
 今は、私が家の管理をしている。
 見ないわけにはいかない。
 その中に、今まで気にも止めなかった、保険組合からの保険適用利用明細が混じっているのを見つけ、ゆっくりと上の部分を剥がした。

 「……え」

 そこに、自分や、子供達がかかっていない医療機関名を発見する。


 【下田心療内科クリニック】








< 41 / 95 >

この作品をシェア

pagetop