夫のいない間に
 確かに、とても美しい女性だとは思うけど。
 医者につきまとうなんて勘違いも甚だしい。

 「主人がご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした」

 診察室を出る際、何度も頭を下げた。

 「いえ、至らない医者ではありますが、また何かありましたら……」

 もう、夫とは関わりたくないだろうに、女医はハンカチを握りしめて私に挨拶をした。

 見た時から気になっていた私は、「…それ」と、つい指をさして尋ねた。

 「え、あ、ハンカチ?」

 「はい、別のものを主人にお貸しになられました?」

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