夫のいない間に
 告白。
 日常では、久しく聞く言葉だった。
 だから、直ぐにはピンとは来なかった。

 「告白……つまり、好きってことですか?」

 私が聞き直すと、女医は今度はハンカチを口元に当てて頷いた。

 「″本気だから、付き合ってくれ″と。診療時間以外も訪ねられるようになられまして」

 「……」

  ――あきれた。

 それストーカーじゃないの。

 「何度もハッキリとお断りしたんです。それでもあまりにも執拗だったので、私の主人に電話して来て貰った事があるんです。それからは来られなくなりました」


 「い、いつの話ですか?」

 「二週間前、ですね」

 「……夫はショックを受けてたようですか?」

 「そうですね、ええ。どんよりとして帰られました」


 情けない。

 夫は人妻である女医にフラれて、恐らく傷心の独り旅行をしているのだ。
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