夫のいない間に
 過去に何度浮気をしたかは知らないし、全ての女を見てないけれど。

 知性と、か弱さと優しさと美しさを兼ね備えた女医は、今まで出会った女の中では、最高級だったんだろう。

 フラれて現実逃避したくなるほどに。


 病院を出て、警察署へ届け出をしようと車を走らせた時だった。

 ピリリリ! と心臓を打つ大きな音が鳴った。

 いつのまにか、着信音量をマックスにしていようだ。
 

 「もしもし?」

  脇道に止めて電話に出ると、娘の理名からだった。

 「お母さん!見つかったよ!」

 「え、」

 「マキロン!」

 「本当?! どこにいたの?」

 「わかんない、でも、お父さんが連れてきた!」

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