夫のいない間に
そう思ったら気が楽になった。
苦手な同僚や上司に気を遣うのも、クレーマーのお客様に対する電話も、煩わしい事が、私の日常からもうすぐ消える。

優雅で退屈な専業主婦になるのだから。



その日の業務はあっという間に終わった。

足を引きずり、駐車場の車に乗り込む。バッグの中でスマホが光っていた。娘の理名からのラインだった。


【夕御飯、友達と食べてくる】


 ハイハイ。いいですよ。
健次も要らないって言ってたし、あんたたちの弁当が夕飯になるし丁度良かった。
それに、私があげたお小遣いで遊ぶのだと思うと、それはそれで満足だった。

私は、一人で夫の役目もこなしてる。
世間一般的には、おかしな感覚かもしれないけど、 家のお金を管理していると、自然とそう思えてくるのだった。



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