クリスマスに3つの奇跡を〜サンタはみんなの所にやって来る〜
私にまた恋をする資格なんてない…



もう恋愛なんかしない…



それが私に神様が与えた罰なのだと、私はこの3年間、そう思って生きてきた…



今日は雄二の3回目の命日だ…



「莉奈ちゃん‼︎あなたはまだ若いんだから、もう雄二の事は忘れて、他の人と幸せになって…雄二もそれを望んでいるわ…もう自分を責めないで、雄二から解放された人生を送って…」



雄二のお母さんからそう言われたのは、雄二の3回目の命日を迎えた日だ…



私は雄二のお墓に手を合わせ、もう一度雄二に会いたいと強く願った…



でも…



もう雄二に会えることは二度と無い…



私の心は、まだ3年前で止まったままだ…



「雄二…雄二の事忘れるなんてできないよ…私も雄二のところに行きたい…雄二、私を雄二のところにに連れて行って…」



衝動的に雄二との思い出の湖のある公園に来た私は、雄二のくれたペンダントを胸につけ、思い出の公園の湖に身を投げようとした‼︎



「ちょっ、ちょと待って‼︎」



吸い込まれるように湖に落ちようとしていた私を若い男の子が止めに入る



男の子は私の体を持ち上げて止めに入り、私達は湖のほとりに二人で倒れ込んだ…



いたたっ‼︎



間一髪で私を助けてくれた男の子は怒ったような表情で必死にこう言った…



「死ぬなんてダメです‼︎何があったか知らないけど、世の中悪い事ばっかりじゃ無いですから…だから絶対に死んだらダメです…」



その男の子は額に汗かいて必死に私を説得している…



明らかにまだ若いのに、本当に真面目な子なんだろうなと思った…



「あっあはは」



その男の子の必死さに私は逆に笑いが込み上げてきてしまった…



男の子は私が笑うものだから、唖然とした顔で私を見ている…



「ごめんごめん…君があんまり必死に止めてくれるから、つい面白くなって笑っちゃった‼︎衝動的ここに来たけど、君のおかげですっかり死ぬ気なんてなくなっちゃった…」



私は衝動的に身を投げようとしていた自分を必死に止めてくれた男の子に感謝したい気持ちになった…



男の子は私にもう死ぬ気がないことを確認するとほっとしている…



「有難う」



心からそう言って私はその男の子と別れた…



「死ぬ気が無くなって良かったです‼︎あなたみたいな綺麗な女性が死ぬところなんて見たくないですから…」



去り際に男の子は私にそう言うと、じゃあと軽く会釈して帰って行った…



黒髪にツーブロックの髪型のスポーツマン風の男の子は、一見しただけで爽やかな感じのいい男の子だという事が分かる…



もう二度と会うこともないだろうけど、あの男の子に助けられちゃったな…



私はさっきまで自分が身投げしようとしていたのが嘘のように少しだけ晴れやかな気持ちになった…
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