離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
結局夏芭に押し切られ、六花はマスカレードパーティーに参加することになってしまった。
なんだかんだで夏芭に頼られ、甘えられると断れない。
クリスマスイヴ当日、六花は夏芭の勤めるメイクサロンに訪れていた。
マスカレードパーティーに行くための変身をするためだ。
「ねぇ夏芭、今更だけど大丈夫なの? 招待状に本人確認書類が必要って書いてあったけど」
「大丈夫じゃない? 一応私のマイナンバーカード持ってく?」
「顔写真が明らかに違うじゃない」
「じゃあなるべく写真に寄せたメイクにするよ」
そういうことではないと思うが、夏芭の好きにさせることにした。
「行ったことある人に聞いたけど、本確ないらしいよ。持ってこいとは書いてあるけど、実際はないみたい」
「そうなの?」
「だから大丈夫! 多分」
多分では困るのだが……。六花は小さく溜息を吐く。
「にしてもりっちゃん、肌綺麗だねー」
「夏芭がくれた化粧水がいいからよ」
「使ってくれてるの?」
「ええ、気に入ってる」
「やった〜」
夏芭は嬉しそうに表情を綻ばせる。
六花は夏芭の素直で無邪気なところに弱い。夏芭が喜んでくれると六花も嬉しい。
「夏芭はどうしてこのパーティーに参加したかったの?」
「友達から聞いて面白そうだなって思ったのと、新しいコネが作れるかなって思って」
「コネ?」
「だって芸能人もいっぱい来るんだよ? ヘアメイク担当させてもらえたりしないかなって」