離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
夏芭は「本当にりっちゃんはかわいいのに」と不服そうにしていた。
ドレスは真っ赤なワンピースドレスを貸してもらった。このマスカレードパーティーのために新調したらしい。
周年パーティーには派手すぎるからと、六花が着ることになった。
靴はパールホワイトのナッパレザーのピンヒールを貸してもらった。
光沢感のあるレザーがシンプルなデザインのパンプスながら、高級感が一目でわかる。
「やば〜い! りっちゃんめちゃくちゃかわいいよ!」
夏芭は興奮気味にスマホのカメラで連写していた。
夏芭に貸してもらったドレスと靴を身にまとい、夏芭の施してくれたヘアメイクで着飾った自分はまるで別人だ。
慣れないセレブのパーティーに行くのは不安しかなかったけれど、今は少しだけ楽しみでもある。
(クリスマスイヴくらい贅沢してもバチ当たらないかな……)
普段は自分にお金をかけず、一日でも早く借金が完済できるように日々節約して頑張っている。
だけど今日くらいは、仮面を付けて偽りの姿になっても許されるだろうか。
「じゃあそろそろ行くね。遅刻するとママに怒られちゃう」
「気をつけてね。奥様には今日行けないこと、謝っておいて」
「オッケー。楽しんできてね、りっちゃん!」
「ありがとう。夏芭も頑張ってね」
夏芭は笑顔で手を振り、タクシーに乗って周年パーティー会場となるホテルへと向かった。