離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 六花も深呼吸をして、マスカレードパーティー会場へと向かう。
 高いピンヒールは歩き慣れないので、ペタンコのパンプスで向かった。会場に着いたら履き替えてクロークに預けるつもりだ。

 りっちゃんもタクシーで行けばいいと夏芭に言われたが、少しでも交通費を浮かせるために歩いて行くことにした。
 幸いにして歩けない距離ではない。


(徒歩で行く人なんて私だけなんだろうなぁ)


 スマホの地図アプリを見ながら目的地のホテルを目指す。
 ホテルに到着すると、何台もの黒塗りの高級車がホテルの前で止まり、いかにもセレブな人物が降りてくる。

 大抵の人がサングラスをかけていて顔が見えないが、きっとマスカレードパーティーの参加者なのだろう。
 オーラからして煌びやかな人々ばかりで、六花は気後れしてしまった。


(やっぱり私なんて場違いじゃないかな……)


 帰りたくなってしまったが、キャンセル料五万円を思い出し震えそうになる足を前に進める。


(もう後戻りはできない。行くしかない)


 入る前にもう一度深呼吸をし、六花は意を決して受付に向かう。


「招待状はお持ちですか」
「はい」


 スタッフが招待状を確認している最中、心臓が飛び出しそうだった。


「――涼風夏芭さんですね。こちらの仮面をどうぞ」
「は、はい」


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