離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
「ただいま。いい匂いがするねぇ」
「おかえりなさいませ。ちょうど出来上がりましたよ」
「ありがとう、六花ちゃん」
直後に帰宅したのは涼風宏海。
Suzukaze.incのリーズナブルながらしっかりとしており、デザイン性も抜群の家具を生み出すインテリアデザイナーだ。
Suzukaze.incを創設したのは宏海だが、デザイナー業に専念するため経営は妻の凪子に一任する生粋の職人肌。
自宅にも宏海がデザインしたインテリアで揃えられており、遊び心があってオシャレな空間が形作られていた。
「六花ちゃん、夏芭は?」
スーツからワンピースに着替えた凪子が訊ねる。
ルームウェアなのだそうだが、生地はシルクで高級感がありとてもルームウェアには見えない。
「夏芭さんなら……」
「りっちゃーん!」
噂をすれば何とやらで、勢いよくドアが開いたかと思うとダイニングに夏芭がやってくる。
「新作コスメ爆買いしてきたの! クリスマスにピッタリのメイク試したいから後でモデルになってね」
「承知しました」
「クリスマスコフレいっぱい買ってきちゃった〜」
「ちょっと夏芭! これからごはんなのにテーブルを散らかさないで」
「あ、ママ。おかえり」
「まったくもう」
凪子は呆れて肩を竦めていたが、夏芭はマイペースにテーブルに広げたコスメを片付けていた。
「みんな揃ったんだね」