離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
*
顔合わせの食事会は和やかに進んでいた。
涼風家からは宏海、凪子、夏芭。
永瀬家からは祖父の六条國光、父で永瀬法律事務所代表の章久、母の美嘉、弟の頼久、妹の嘉那という五人だ。
頼久は既に結婚しているが、妻は現在妊娠中とのことで体調を考慮して今日は欠席していた。
「孫たちの中で惺久は三十を過ぎてもなかなか結婚しなくてな。良い縁がないのかと思っていたのだが、素晴らしい女性に巡り会えて安心した」
國光は日本酒を飲みながら上機嫌だった。
「こちらこそ六花さんにはずっと尽くしていただいていましたから、惺久さんという素敵な方に恵まれて嬉しいです」
宏海はやや緊張している様子だったが、お酒が進むにつれて饒舌になっていた。
「そういえば惺久と六花さんはどこで出会われたの? この前は聞きそびれてしまったから」
美嘉の質問についにきたか、と六花は身構えた。
なりそめについては絶対に聞かれると思っていたので事前に打ち合わせをしていた。
一呼吸置いてから、事前に決めていたストーリーを話し始める。
「とあるパーティーに参加した時に偶然知り合ったんです。夏芭さんが招待されたものだったのですが、お仕事で行けなくて私が代理で参加しまして」
「僕の方が彼女に一目惚れをして、声をかけました」