同棲中彼は、顔だけかも、しれない。
「おはようございます……」
何時もより早い時間に出勤した私を見て、社長が怪訝な顔をした。
「結依ちゃん、どうしたの?」
ほぼ素っぴん。いつもならちゃんと結っている長いザンバラ髪。そんでもって、いかにも家出しましたの大きなバッグ。
「ちょっと、同棲中の彼氏と喧嘩しまして」
「はは、若いねぇ」
と、微笑ましく言った社長はけしてもオジサンではない。
私より四つ歳上の三十三歳。
二十七歳で、(大きくはないが)この建設会社を立ち上げたやり手だ。
丁度、私がアタルと同棲し始めた頃からお世話になっている。
「仲直りしないとダメだよ」
歳が近いせいか、社長というより良き先輩という感じで今までも愚痴を聞いてくれていた人。
なので、今回の家出もその延長だと思っている様子。
けど。
私は、もう戻る気はなかった。
仕事の合間。
従姉に、暫く家に泊めてくれないかと電話をかけてみる。
が。
【無理よ。今夜彼氏くるもん。それにおばさんの手術代、まだ返して貰ってないよね?】
こういう時、血縁でも金に容赦ない人は冷たい。
わりと近くにいる一人住まいの友人にもラインしてみたが、何とも間が悪く、
【今、大阪に出張中なの。あと三日は帰らないよ】
ただで宿を取るのは難しいようだ。
でも、どうする?
千五百円じゃ何処にも泊まれない。
何時もより早い時間に出勤した私を見て、社長が怪訝な顔をした。
「結依ちゃん、どうしたの?」
ほぼ素っぴん。いつもならちゃんと結っている長いザンバラ髪。そんでもって、いかにも家出しましたの大きなバッグ。
「ちょっと、同棲中の彼氏と喧嘩しまして」
「はは、若いねぇ」
と、微笑ましく言った社長はけしてもオジサンではない。
私より四つ歳上の三十三歳。
二十七歳で、(大きくはないが)この建設会社を立ち上げたやり手だ。
丁度、私がアタルと同棲し始めた頃からお世話になっている。
「仲直りしないとダメだよ」
歳が近いせいか、社長というより良き先輩という感じで今までも愚痴を聞いてくれていた人。
なので、今回の家出もその延長だと思っている様子。
けど。
私は、もう戻る気はなかった。
仕事の合間。
従姉に、暫く家に泊めてくれないかと電話をかけてみる。
が。
【無理よ。今夜彼氏くるもん。それにおばさんの手術代、まだ返して貰ってないよね?】
こういう時、血縁でも金に容赦ない人は冷たい。
わりと近くにいる一人住まいの友人にもラインしてみたが、何とも間が悪く、
【今、大阪に出張中なの。あと三日は帰らないよ】
ただで宿を取るのは難しいようだ。
でも、どうする?
千五百円じゃ何処にも泊まれない。