あの人に会いにいく。
『__京也、来年も二人でクリスマスツリー見に行こうね』


 嫌な記憶が遡る。太陽よりも、星よりも、眩しすぎるあの笑顔が脳裏に浮かぶ。あの頃は、あの瞬間までは、俺の幸せがすぐそばに、隣にあったというのに。


『ゆーびきりげんまん。嘘ついたら針千本のーます! ゆびきった!』


 小さすぎる小指、幸せな顔したあの笑顔、少しでもぶつかれば壊れてしまいそうな華奢な体に、俺はどれだけの愛を捧げていたのだろう。


 冬はきらいだ。だいきらいだ。あの時を思い出してしまうから。あの頃が蘇ってしまうから。
 あの人に、会いたくなるから__。


   *


< 12 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop