あの人に会いにいく。
 長年の友人たちと離れてしまうことに寂しさはあったものの、何とか今もこうして暮らしている。


『はぁ……。私が緑だったら、勉強目的で進学校を目指すんじゃなくてイケメン目的で行くけどね。緑みたいにもったいないこと絶対しない』


 まるで勉強目的で進学校に通っている私がおかしいというような言い方だ。


 するとベッドで寝転がっていた紗倉が不意に立ち上がり、思いついたように言う。


『そーいえばクリスマスなんだし、少しぐらい出掛けたらどうなの? 自分の誕生日ってことも忘れてるでしょ』


「嫌だよ。寒いし風邪引いたら困るもん」


『あのね〜? せっかくの東京住みJKが何言ってんのよ。フツーだったら彼氏がいて、クリスマス気分味わってるところだと思うんですけど。てゆーか、東京の光を写真撮ってでもいいから見せなさいよ! こっちは田舎だからキラキラしたものといえば星ぐらいよ?』

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