あの人に会いにいく。
「ご、ごめんなさい……」


 きっと今日は史上最悪な誕生日だ。心の奥でそう思う。


 子供が悪さをして謝るように、私は彼に謝罪の言葉を掛ける。もちろん彼は私の言葉には目もくれず、ため息をひとつ吐くと後頭部をガシガシと掻いた。


「車に轢かれてたかもしれねぇだろ! そしたら、そしたら……」


 彼の声はまるで泣いてるみたいだった。怒っているんじゃない、そう、悲しんでいるような、そんな声。


 あまりにも悲しみに染まる声を聞いてしまったからだろうか。
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