海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
有昧后はやはり私と同じ視点で、この事態を見ていたのだろう。
既に采配していたのか、有昧の兵士たちと現地の北溟軍は⋯既に各部隊に分かれて、命を遂行すべく奔走している。
見渡せば、視野を遮る霧の中から―⋯沢山の声が聞こえてくる。
氾濫により道が分断された時の為に⋯食料や貴重品を高地へと運び上げる輸送部隊。
食料の食い散らかしや疫病を媒介する害虫の駆除に⋯燻煙を焚き、その黒煙で別部隊への合図を送る、駆逐部隊。
暴動化した獣や鳥類⋯妖怪を抑える討伐部隊。
死地と化した、この地獄のような惨状を⋯粛々と片付けていく、移送部隊。
怪我した者や事故に巻き込まれた者に対峙する救護部隊。
そして、最も人員を割くのは⋯川の氾濫を防ぐために体を張る、治水部隊。
「海棠、有昧后の言う通り重石を入れてやってるけど⋯これだけじゃあ持たないぞ」
福はまだ回復もしていない体で、息を切らし⋯ふさふさの尻尾に、そして⋯ピンと立つ耳までも露呈している。
「重石⋯ね、川底の摩擦を増やして流速を落とそうって訳か」
こうすれば⋯洗掘を少しでも防げる。
そして、燭陰の周りを飛び交う愚強が―⋯冷風をひたすらその体に吹かせて。大きな翼を団扇のようにして扇いでいた。
まるで⋯戦争や災害時に見るような、緊迫した絵図だ。
既に采配していたのか、有昧の兵士たちと現地の北溟軍は⋯既に各部隊に分かれて、命を遂行すべく奔走している。
見渡せば、視野を遮る霧の中から―⋯沢山の声が聞こえてくる。
氾濫により道が分断された時の為に⋯食料や貴重品を高地へと運び上げる輸送部隊。
食料の食い散らかしや疫病を媒介する害虫の駆除に⋯燻煙を焚き、その黒煙で別部隊への合図を送る、駆逐部隊。
暴動化した獣や鳥類⋯妖怪を抑える討伐部隊。
死地と化した、この地獄のような惨状を⋯粛々と片付けていく、移送部隊。
怪我した者や事故に巻き込まれた者に対峙する救護部隊。
そして、最も人員を割くのは⋯川の氾濫を防ぐために体を張る、治水部隊。
「海棠、有昧后の言う通り重石を入れてやってるけど⋯これだけじゃあ持たないぞ」
福はまだ回復もしていない体で、息を切らし⋯ふさふさの尻尾に、そして⋯ピンと立つ耳までも露呈している。
「重石⋯ね、川底の摩擦を増やして流速を落とそうって訳か」
こうすれば⋯洗掘を少しでも防げる。
そして、燭陰の周りを飛び交う愚強が―⋯冷風をひたすらその体に吹かせて。大きな翼を団扇のようにして扇いでいた。
まるで⋯戦争や災害時に見るような、緊迫した絵図だ。