海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
「取らぬ狸の皮算用」と言うではないか。
あれこれと利益や体面を気にするのは私の役割でもなければ―⋯
契や驍大人のような者たちに敵う筈がない。
「⋯契さん。もう遠慮はしません。今は状況を打破することが先です、ご協力を」
「はじめからそのつもりだ」
美しい垂れ目が、綺麗な弧を描いて―⋯笑っている。その距離―⋯、非常に近し。
すると、だ。
「海棠」
浮游が、その間から―⋯腕をのばし。その大きな手で、私の衿元の合わせを器用にスッと直すと。
相変わらずの無表情で、急に襟首をぐいんと引っ張って―⋯歩いていく。
この妙な矛盾行動は、一体何なんだと思いつつ⋯ずるずるとその場から連れられていくのだった。
「こちらは私に任せよ。何でも申せ!知首の命通り、滞りなく、全てを完璧にやり遂げてみせよう」
「あーあー、もう黙れ。頼むから早く行かせてやってくれ」
契さんと驍大人の見送る声が―⋯背後から届いた
。
あれこれと利益や体面を気にするのは私の役割でもなければ―⋯
契や驍大人のような者たちに敵う筈がない。
「⋯契さん。もう遠慮はしません。今は状況を打破することが先です、ご協力を」
「はじめからそのつもりだ」
美しい垂れ目が、綺麗な弧を描いて―⋯笑っている。その距離―⋯、非常に近し。
すると、だ。
「海棠」
浮游が、その間から―⋯腕をのばし。その大きな手で、私の衿元の合わせを器用にスッと直すと。
相変わらずの無表情で、急に襟首をぐいんと引っ張って―⋯歩いていく。
この妙な矛盾行動は、一体何なんだと思いつつ⋯ずるずるとその場から連れられていくのだった。
「こちらは私に任せよ。何でも申せ!知首の命通り、滞りなく、全てを完璧にやり遂げてみせよう」
「あーあー、もう黙れ。頼むから早く行かせてやってくれ」
契さんと驍大人の見送る声が―⋯背後から届いた
。