海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
有昧后の許可が下りた、と愚強から報告を受けて―⋯。
早速、帝江を元の場所に帰すべく―⋯作戦を実行する。
と、言っても。至ってシンプルな話だ。
何の抵抗もできず、ただの袋と化した身体は―⋯まるで、気球。
愚強の北風に乗せて―⋯あの、有昧の湖畔へと送り届けるだけだ。
「あそこで平和に―⋯楽しんで」
届きもしない言葉で見送って。
帝江の巨体は、まるで美しい弧を描くロングパスのように、夕日の沈む国―⋯北西の空へと、歌声を響かせながら一気にすっ飛んでいった。
(⋯いや、ループシュートか?)
そして―⋯
帝江の姿が見えなくなる頃。
南方の大地から、土埃を立てて⋯大量の荷を運ぶ大群が―⋯やって来たのであった。
商の商旗と、有昧の軍旗とが―⋯愚強の北風に靡いて。
治熱プロジェクトの肝となる、青銅の嵌合パイプを―⋯携えて。