海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
すると今度は、有昧の職人であろうか?やや控えめに、けれど―⋯自信を滲ませて、
「横からの土圧にも熱の変形にも耐えられるよう、外側に等間隔に節を打ってあります。神様の熱だか何だか知りませんが、我ら職人にも意地があるのです」と、キッパリと言い切った。
―彼らは、最初から気づいていたんだ。現代の図面や知識にはない、この時代で泥と炎にまみれて生きてきた職人だからこそ分かる「金属の限界」と、それを補う「自然物の知恵」に。
何という心強い職人の意地とプライド。
見えない部分で、幾重にもより強靭に磨き上げられた―⋯努力の結晶。
そうか、だから有昧后は⋯その技術を信じて疑わず、焦りもしないのか。
その言葉通りに―⋯陶芸の窯を開けたときのような、香ばしく熱い土の匂いが漂ってくるのであった。
その、香ばしい臭いと共に、僅かながら、錆びた鉄と血を混ぜたような、酸っぱさも―⋯。
古代の技術が、熱伝導を遅らせて時間を稼いでくれている。
「有昧后。外側から【抑える】ことは―⋯」と、彼の方へと振り返ると。
掌を翳して⋯どうやらその霊力を必死に送り込んでいるようだった。
忘川の終着点。
あの、霧状のミストに―⋯この青銅の熱がぶつかったら。水蒸気爆発を起こす。顔を歪めて、灼熱に身を焦がしながらも⋯その手を休めることはなかった。
「横からの土圧にも熱の変形にも耐えられるよう、外側に等間隔に節を打ってあります。神様の熱だか何だか知りませんが、我ら職人にも意地があるのです」と、キッパリと言い切った。
―彼らは、最初から気づいていたんだ。現代の図面や知識にはない、この時代で泥と炎にまみれて生きてきた職人だからこそ分かる「金属の限界」と、それを補う「自然物の知恵」に。
何という心強い職人の意地とプライド。
見えない部分で、幾重にもより強靭に磨き上げられた―⋯努力の結晶。
そうか、だから有昧后は⋯その技術を信じて疑わず、焦りもしないのか。
その言葉通りに―⋯陶芸の窯を開けたときのような、香ばしく熱い土の匂いが漂ってくるのであった。
その、香ばしい臭いと共に、僅かながら、錆びた鉄と血を混ぜたような、酸っぱさも―⋯。
古代の技術が、熱伝導を遅らせて時間を稼いでくれている。
「有昧后。外側から【抑える】ことは―⋯」と、彼の方へと振り返ると。
掌を翳して⋯どうやらその霊力を必死に送り込んでいるようだった。
忘川の終着点。
あの、霧状のミストに―⋯この青銅の熱がぶつかったら。水蒸気爆発を起こす。顔を歪めて、灼熱に身を焦がしながらも⋯その手を休めることはなかった。