海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
2章 渡り鳥、翼を畳む
第6話 相棒・福の憂鬱
有昧の夕日を見てから、幾日か経っていた。あの日以来ー⋯、王が私と顔を合わせることはなかった。
それでも、あの者の監視の目は⋯いつも、どこでも感じるのだから不思議だ。
灰色の、無機質な⋯視線。
「きっとこの牢のせいだな」
左腕の、その見えない腕輪を引きちぎる思いで⋯ぎゅうっと摘んで。結局は己の皮膚をつねってしまう。
(⋯⋯痛い。単純に、痛い)
そう、触ることすらできない。
これがあるせいで、身は例え自由になれども⋯何処か不自由で、未だ捕まったままの感覚に陥るのだ。既に結ばれた主従関係はー⋯圧倒的に不利なまま、未だ打破することができない。
「⋯棠、海棠!!」そう呼ばれて、ハッとして⋯その声のする方へと振り返る。
その主は、てくてくと駆け寄って来ては⋯買ったばかりの食材を、私が持つ籠の中へと、また、放り投げた。
もう、他を入れる隙間もないくらいに⋯満杯だ。
「なぜ、こんなに大量の食材を?」
日はだいぶ高くなって来ていて、時刻は⋯⋯、現在??時。
時計もスマホもなけりゃあわかりもしない。
感覚で言うなれば⋯10時くらいであろうか?人間界いる時は、だいたいいつも同じ時間に起きていたから⋯そのリズムが未だ整っているのなら。
うん。10時くらいだ。
「もう巳の刻だからな。軍の者たちに昼餉を運ばないと」
「⋯なるほど。夏は十二時辰採用だったのか。ありがたい」
「⋯⋯?」
福はキョトンとした顔をしているけれど、私にとっては大きな収穫。
歴史上あったかないかの伝説の(?)国でもあるから、ここに議論はあるだろう。日本でもお馴染み、そして、中国の伝統的な時法であることに、まずは感謝したい。
「⋯うん。巳の六刻だな」
「⋯⋯⋯」
今度は私がキョトン、とする。
何せこちとら20☓☓年に生きた現代人。スマホで一発、情報社会。
うっかりドヤってしまって⋯申し訳ない。
それでも、あの者の監視の目は⋯いつも、どこでも感じるのだから不思議だ。
灰色の、無機質な⋯視線。
「きっとこの牢のせいだな」
左腕の、その見えない腕輪を引きちぎる思いで⋯ぎゅうっと摘んで。結局は己の皮膚をつねってしまう。
(⋯⋯痛い。単純に、痛い)
そう、触ることすらできない。
これがあるせいで、身は例え自由になれども⋯何処か不自由で、未だ捕まったままの感覚に陥るのだ。既に結ばれた主従関係はー⋯圧倒的に不利なまま、未だ打破することができない。
「⋯棠、海棠!!」そう呼ばれて、ハッとして⋯その声のする方へと振り返る。
その主は、てくてくと駆け寄って来ては⋯買ったばかりの食材を、私が持つ籠の中へと、また、放り投げた。
もう、他を入れる隙間もないくらいに⋯満杯だ。
「なぜ、こんなに大量の食材を?」
日はだいぶ高くなって来ていて、時刻は⋯⋯、現在??時。
時計もスマホもなけりゃあわかりもしない。
感覚で言うなれば⋯10時くらいであろうか?人間界いる時は、だいたいいつも同じ時間に起きていたから⋯そのリズムが未だ整っているのなら。
うん。10時くらいだ。
「もう巳の刻だからな。軍の者たちに昼餉を運ばないと」
「⋯なるほど。夏は十二時辰採用だったのか。ありがたい」
「⋯⋯?」
福はキョトンとした顔をしているけれど、私にとっては大きな収穫。
歴史上あったかないかの伝説の(?)国でもあるから、ここに議論はあるだろう。日本でもお馴染み、そして、中国の伝統的な時法であることに、まずは感謝したい。
「⋯うん。巳の六刻だな」
「⋯⋯⋯」
今度は私がキョトン、とする。
何せこちとら20☓☓年に生きた現代人。スマホで一発、情報社会。
うっかりドヤってしまって⋯申し訳ない。