海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
どれだけ寝ていたのだろう。体のあちこちが軋むような痛さ。

一旦大きく伸びをして。
私はようやく⋯我に返った。

「地獄行き、だって?」

小学生男児特有の、悔し紛れの一撃って感じの物言い。
「⋯う〜ん。⋯かわいいな」
思わずクスッと笑ってしまう。

けれど、その笑いもすぐに宙に浮いてしまう。

寝そべっているこの場所、ゴツゴツとしていて、腰が痛い。
それもそのはず、なにせ⋯どう見たって、むき出しになっている【岩】だ。

私がいるこの場所は、薄暗い洞窟。
岩壁にある松明の炎が⋯ぼんやりと辺りを照らしていた。

人生生まれてこの方、洞窟などに入ったことなどない。どこにあるのかも知らない。
いや。鍾乳洞を見たくて、1度調べたことはあるから全く無知ではないけれど。

それにしても⋯今にも、どこからかコウモリでも飛んできそうな雰囲気だ。

「⋯夢⋯?それとも、現実?」
はたまた、地獄か、死後の世界なのか?

胸が、ザワザワと音を立てる。
少年が去った、洞窟の入り口をじいっと見て。彼が口にした、訪れるのであろう次の訪問者を⋯ひたすら待った。

入口はただひとつ。先のない行き止まりの洞窟。
もはや、逃げも隠れもできそうにもない。

ゴクリと唾を飲み込んで、覚悟を決める。
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