海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
2人は、洶工が現れる場所について歩いて。
国が頭を悩ませる、川の氾濫に対峙する洶工の治水能力を⋯その目で見守っていた。
とは言っても、自然は子供にとっては最高の遊び場である。
洶工は人を使うのが抜群にうまかった。褒めることも忘れない。お陰で、自分の手は汚さずとも、部下を使っては⋯土地を開拓し、事業を拡大していく。
そんな性格であるから⋯浮游も相柳も泥だらけになっても、彼等を褒め称え⋯のびのびと育ったのだ。
相柳は一見して、冷たい性格にも感じるが⋯浮游に対しては違った。
イタズラはするし、浮游が部族の子供に弄られるようなことがあれば⋯毒を以て毒を制すを地でやってのける胆力もあった。ちょっとした腹痛で仕返しするくらいで、それらは何ら問題にもならなかった。
相柳は⋯猛毒を体に有する妖蛇だった。元来の姿は、9つの頭を持つ九頭蛇。その聡明さを⋯浮游は羨ましく思っていた。
自分にも、9つの尾がある。
けれど⋯9つの頭には、どんなに計略を練っても、イタズラすら敵わなかったのだ。
それから⋯、羨ましかったのは、本来の姿が、蛇神である洶工とよく似た風貌であったこと。
浮游の姿は、彪そのものであった。
それは、焼きもちにもよく似た感情で⋯。幼かった浮游は、父のように慕う洶工の気を惹きたくて、彼と同じ赤髪になるように⋯髪を染めた。けれど、何度染めようと⋯色が落ち、黒紅梅の中途半端な髪色になってしまう。
それでも、洶工からお揃いだと言われれば⋯心を弾ませ喜んだ。
そして⋯友として長年を共に過ごしたおかげで、相柳の毒にも免疫がついていたのだろう。
相柳が育っていくうちに、次第に周囲はその毒気を恐れ⋯迫害しようとするものまで出てきた。草木が枯れれば、相柳が触れたからだ、と、騒ぐ者も。
⋯が、浮游はそれを身を挺して守ることができる、唯一の存在でもあった。相柳なら仕返しするのも簡単なことであったろうが⋯そうならぬよう、仲裁に入ったのだ。
国が頭を悩ませる、川の氾濫に対峙する洶工の治水能力を⋯その目で見守っていた。
とは言っても、自然は子供にとっては最高の遊び場である。
洶工は人を使うのが抜群にうまかった。褒めることも忘れない。お陰で、自分の手は汚さずとも、部下を使っては⋯土地を開拓し、事業を拡大していく。
そんな性格であるから⋯浮游も相柳も泥だらけになっても、彼等を褒め称え⋯のびのびと育ったのだ。
相柳は一見して、冷たい性格にも感じるが⋯浮游に対しては違った。
イタズラはするし、浮游が部族の子供に弄られるようなことがあれば⋯毒を以て毒を制すを地でやってのける胆力もあった。ちょっとした腹痛で仕返しするくらいで、それらは何ら問題にもならなかった。
相柳は⋯猛毒を体に有する妖蛇だった。元来の姿は、9つの頭を持つ九頭蛇。その聡明さを⋯浮游は羨ましく思っていた。
自分にも、9つの尾がある。
けれど⋯9つの頭には、どんなに計略を練っても、イタズラすら敵わなかったのだ。
それから⋯、羨ましかったのは、本来の姿が、蛇神である洶工とよく似た風貌であったこと。
浮游の姿は、彪そのものであった。
それは、焼きもちにもよく似た感情で⋯。幼かった浮游は、父のように慕う洶工の気を惹きたくて、彼と同じ赤髪になるように⋯髪を染めた。けれど、何度染めようと⋯色が落ち、黒紅梅の中途半端な髪色になってしまう。
それでも、洶工からお揃いだと言われれば⋯心を弾ませ喜んだ。
そして⋯友として長年を共に過ごしたおかげで、相柳の毒にも免疫がついていたのだろう。
相柳が育っていくうちに、次第に周囲はその毒気を恐れ⋯迫害しようとするものまで出てきた。草木が枯れれば、相柳が触れたからだ、と、騒ぐ者も。
⋯が、浮游はそれを身を挺して守ることができる、唯一の存在でもあった。相柳なら仕返しするのも簡単なことであったろうが⋯そうならぬよう、仲裁に入ったのだ。