海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
試合を終えてもまだ、教えを乞う者たちに⋯今度は日常の訓練法を教えていった。

スラスラと言葉が溢れ出す。
自分に⋯こんな才が備わっていたとは露知らず、盤上を指揮していく。


「八卦の陣の基本形態とも言える⋯名付けて方円の陣です」

古来の娯楽である蹴鞠(けまり)のルールに、鞠を奪う役目の者を中心に置いて。
現代サッカー界における輪舞曲(ロンド)という練習法を教えた。判断力、キープ力、スピードの向上、視野の確保、数的優位の作り方などを養うのが目的だ。相手を吊り出し数的優位を作りながら翻弄するなど戦術的要素を⋯含む、うってつけの練習法だ。

間接視野対する興味が尽きぬようで、それもまた、鞠を見ずにキャッチボールをする方法、それに負荷を加えて、複数動作をプラスしていくトレーニング法もやってみた。

日常からできる、と私が豪語した⋯視野を固定せずに、手を広げて指の動きを上下左右と追っていく方法に真剣に取り組んだり、 視線を動かさず、視野の端でをじっと観察する【ぼんやり】無の境地のような世界に飛び込み放心していたりと、屈強な男達がこぢんまりと⋯至って真面目にしているのだから、王の力は偉大なのだな⋯とすっかり感心してしまう。

最も、一点凝視の中心視と、広い範囲を探索する周辺視野の使い分けは、情報を瞬時に処理する能力や状況判断力が向上し、スポーツパフォーマンスのアップに繋がるものだ。

利あっても、害はなし。


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