海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
結局私は⋯、隠していたことを、洗いざらい話さざるを得なくなった。

報告係の福が証言したら、どちらにせよ全てバレるというのに。
この人に嘘はつけないと、出会った瞬間から⋯そう直感的に感じていたというのに。二度手間とるとは、なんて滑稽なのだろう。

ことの経緯は、肉なし肉まんの成功話から始まる。やや脱線しているやもだが、この偉業を黙ってはいられなかった。ついでに⋯ふと、この男が食したのなら。どんな顔をするのだろう?と、想像膨らむ。

福と共に見聞きした、()の畑の現状を踏まえて―⋯熱く、小麦必要論を語った。不味い補助食扱いは、不当である。

話していくうちに、次第に議論のように。
「なぜそう思う?」
「どう考える?」と、誘導されていくからだ。

「⋯日本がそうであるように、高温多湿な気候は適さない。でも、そもそもここは洪水が起きてしまう。課題は多いけど⋯、幸いなことに、治水に長ける人がいるから、その方法を畑に利用するのとても有効だと思う。まずは粟や黍などが育つ乾燥した地で、育てるべきかと」

「⋯お前が言うのは、()王ことか?」

「もう1人いたでしょう?地上げで湿害防いで、水の逃げ道も造って⋯。うん、コラボさせれば、最強」

「⋯こらぼ?」

「まあとにかく聞いて。そして、ここは痩せ細った畑が多いのは、そもそも土に栄養がない可能性も。動物の糞尿が堆肥になるから利用しない手はない」

「⋯⋯⋯」

「小麦が普及すれば、肉まんも、パンも、麺だって⋯⋯」

欧米化された日本の食。若い世代には⋯たまらぬご馳走だ。

「まあ、そんな所です。それからですね、有昧王。次なる目標が定まったので、これも伝えておく。日本のソウルフードには、油が必要不可欠。さっき文鰩魚を食べたけれど、焼く、茹でる、蒸すの調理法に加え炒める、揚げるが実現すると⋯同じ魚とは思えないほどに、より身のしまった美味な味わいが。文鰩魚の餡掛け⋯。うん。よって私は⋯油の抽出法を、福と共に探っていきます。小麦粉ができたのなら、日本のTheソウルフード⋯唐揚げの為にも!⋯何の肉でつくろう⋯」


眠気などどこに行ってしまったのか⋯?
とにかく、空は明るくて。夜が来なければ⋯どこまでも、この欲望と展望を語ってしまう。

脱線しているのにも関わらず、浮游は咎めることなく⋯聞いていた。自分の国に利となりそうなことは、聞き入れるスタンスなのかもしれない。


そんな小麦粉が扮した【肉なし肉まん】を、軍の者へと差し入れる為に軍陣営に向かったのだ、とここからいよいよ本題へと入る。

サッカー戦術×兵法の理論をどう伝える⋯?



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