一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 言葉の通り、制服が悲惨な状態になっていた。
 
「ご、ごめんなさい!」
 
 しまった。
 つい、いつもの感じで時間を設定してしまった。
 
 ここ、アイロンの貸し出しあったかな?
 
「それ、貸してください。帰ったらアイロンかけます! もしくはクリーニングに……」
 
「もういい。それじゃ、このツアー終わってからもあんたに会わなきゃいけないだろ?」
 
 岡田の言い方に傷ついた。
 
 そして傷ついた自分に驚いた。

 何で、こんなに、胸がえぐられたみたいになってるの?
 まるで、失恋したみたい。
 
「じゃあな、今日は客を部屋に入れるなよ」
 
 鼻でため息をついた岡田が、宴会場から出ていこうとした時だった。
 
「お。岡田じゃないか?」
 
 その背中を、一人の男性が呼び止めた。
 
 ゆっくりと振り返った岡田が、とても嫌そうな顔をしているのが印象的だった。

「お前、こんなところで何してるんだ?」
 
 胸にぶら下げているネームプレートを見て、呼び止めたのが、【ATB南京支店】の添乗員だとわかった。






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