一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「サインとか貰えるんなら、なぁ、いくよな? 三流女優でも!」
 
「やっぱ本物はキレイ!」
 
 特にシニア近くの男性客は、スマホを片手に無作法に寄っていっていた。
 
「皆さん! 勝手に芸能人の撮影はダメですよ!」

 遠巻きに見る位は構わないけれど、勝手に撮影されるのは、たとえ女優だって嫌なはず。
 
「片桐さーん! こっち向いてくださーい!」
「お、見た見たー!さ すが芸能人、フェロモンつーかオーラが違うねー」
 
 スマホやカメラのシャッター音に不快を示した片桐英子が、スタッフ達に何か言って、ロケバスの中に消えていく。
 
 ほら、言わんこっちゃない。
 が、驚いた事に、三宅くんだけは許可されてるのか、彼は、それに付いて中に入っていた。
 
 三宅くんはプロのカメラマン。
 もしかして、知り合いだったの?



< 187 / 316 >

この作品をシェア

pagetop