一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「ねぇ、三宅くんと片桐英子ってどんな関係だったと思う?」

「……個人的に知り合いなんでしょうけどね」
 
 蛯原さんと岡田も一緒に、広い店内でランチ。
 
 片桐英子の事が気になって仕方ない蛯原さんは、ずっとその話で持ちきりだ。
 
「やっぱり男女の関係?」
「とは、限りませんよ」
 
 三宅くんが泣いていたことは話さなかった。
 
「そーよねぇ!プロのカメラマンだもんね! 過去に一緒に仕事したとかよね!」
「きっと、そうですよ」
「あ、でも。片桐英子って私より歳上じゃない、もし、付き合ってたなら、それって私にも可能性があるってこと?」
 
 蛯原さんの目がラン!と輝く。
 
「さっきから、うるせぇな。喋ってないでさっさと食えよ」

 岡田の険のある言葉と冷たい目が、蛯原さんを黙らせた。
 
「最後まで気抜くなよ」
 
 先に食べ終えたザ・無愛想が、レストランから出ていく。
 
「なによー、偉そうに」
 
 蛯原さんが不満気に口を尖らせた。
 
 「仕方ないよ、ほら、だって岡田さんは………」
 
 私が最後まで言うまえに、蛯原さんはニッと笑い、
 
「三宅くんに叶わない恋をしてるからねぇ」
「そうそう」
 
 私と肘をつつきあう。
 
 女子の間では、何歳になってもBLはネタになるのだ。





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