一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 ムシャクシャして部屋に戻る。
 一人にしては広すぎる8畳間だ。
 
 布団の上で寝転がり、テレビをつけてボンヤリと観る。
 
 昔はさ、呼んでもないのに、勝手に部屋訪問をしてくる男達が沢山いたのにね。
 
 思い出したら余計に虚しくなった。
 
 鹿児島の夜は何だか暑い。
 窓を開けようとしたら、灰が入ってくる可能性がある為に開けないようにと注意書があった。
 
 それは、客の健康を考えて?
 それとも、部屋の掃除の事を考えて?
 いいや。エアコン入れよう。

 かなり古い型のエアコンで、ダイヤル回して調整するんだけど、これがいくら温度下げても暖かい風しか出てこない。
 
「冷房にならないんだけど?!」
 
 フロントに電話しても、
 
「当ホテルは全館空調のため現在暖房設定であり、暑い場合は送風でお過ごしください」
 
 だと。
 
 仕方なくそうしたけれど、やっぱりむしろ暑くなった。
 全く寝れやしない。
 
 こんなんじゃ、明日、酷い顔で三宅くんに会わなきゃいけないじゃない、どうしてくれんのよ。
 
 ………と思ったけど、いつの間 にかグッスリ寝ちゃってた。
 疲労にはかなわないのね。


 


 
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