一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 「添乗員さん、細腰だねぇ! ちゃんと飯食ってんの?」
 
  南条さんがしっかりと私の腰を掴んで笑っていた。
 
 「も、申し訳ありません!」
 
 慌てて離れ、通路側に出るなり、キッ! とドライバーの岡田を睨んだ。
 発車するタイミング悪すぎなのよ。
 それとも女には興味ないから、客に絡まれてもどうってことないわけ?
 
 「桑崎さん、危ないのでしっかり掴まっててください」
 
 しかも、私が悪いみたいに注意してきた。
 
 「だからオッサンは嫌なのよー」
 
 席に戻った蛯原さんが呟いていた。
 そうね。 若い男の子は酔っても、もっとアッサリしてるはず。
 何となく三宅くんの席の方を見ると、ばちっと目が合ってしまった。
 
 やだ。
 なんか、同情されてる?

 何故か、彼の真っ直ぐな視線が痛かった。思わず顔を背ける。

 
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