一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 別れた女にする話?
 席を立とうとしたら、グッと太股に乗せる手に力を入れられた。

「知ってるだろ? 俺の好み。俺はスレンダーで体の柔らかい女が好きなんだよ」

「………そんなの聞いたこともない」
 
 バカだった。
 さっき、蛯原さんに助けてのサイン出しておけば良かった。

「いや、そうだよ。俺は昔から紫都みたいな華奢な女が好きだった」
 
  ずっと体型の話ばっかり。
 
「あなたは、過去のモノばかり良く見えるのよ。今の生活を大事にしてください」
 
  私は、過去の恋愛よりも今就いている業務の方が大事だ。
 
 「あ、おい、最後まで話を聞いてくれよ!」
 
 ようやく美隆の手から逃れて立ち上がった途端、
 
 「……ぁ」

 また、目眩が起きた。
 ヤバい。
 
 こんな時に昨日からの引き続きの貧血だ。
 崩れるように椅子に倒れこんだ。
 
 
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