一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「奥さんが妊娠中に最低」
 
 足元はふらついたけれど、言葉ではしっかり美隆を突き放した。
 
「は?」
 
 ずっと私を見下していた美隆の顔が、みるみる紅潮していった。
 
「お前に言われたかねーよ!」
 
 同じように立ち上がった美隆に、首から下げていた私のネームプレートを引っ張られた。
 
「どーせ、男居ないとか言いながら、今も客と遊んでるんだろ? 何が派遣添乗員だ、派遣風俗の間違いだろ? お前はデリヘルの女と何も変わらないよ!」
 
  一般乗客室に聞こえそうなほど大きな声で罵られる。
 
「せっかく、お前みたいな枯れた女でも抱いてやろうと思ったのに!」
 
  続く屈辱に、思わず涙が溢れそうになった。
 
 
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