一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 ツアーのお客様がゾロゾロとバスに乗車してくる。
 
 南條さんも元気になって、「さっきはありがとなー」と岡田の肩を叩いていた。
 
 「皆様、海の旅お疲れ様でした。船内にお忘れものありませんか? 今一度お確かめください」
 
 皆が着席したところで点呼。
 よし。全員いる。
 
 岡田に目で合図をした。
 
 バスがゆっくりと船から降りて、港の駐車場へ移動。一般バスの停留所で止まった。
 
 ここで半分ほどのお客様と、蛯原さんともお別れだ。

「ここで最後の方がいらっしゃいますので。……改めて」

  マイクを通して、声が微かに揺れてしまった。

 
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