一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 外灯もない闇に、青色に光る公園のトイレ。誰が見ても怖い。
 心なしか、皆さん慌てて済ませているようにも思えた。
 
「な、なんか、ヒュー…ヒューって個室から音すんだよ!」
 
 戻ってきた木下さんが話すと、
 
「そう、そう確かに聞こえた!」
 と他のお客様も一緒に、恐話(こわばな)にハナを咲かせていた。

「すきま風の音だろうよ」
 
 岡田の呟きは、誰も聞いていなかった。
 
 岡田には怖いもの、なさそう。
 
 頼もしいやら、つまんないやら。
 

 ――ともあれ、進行は暫く道なり。
 
 ようやく片側二車線の町へ入る時には、9時を過ぎていた。
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