一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 私が三宅くんから貰ったメモ紙を、岡田の横顔にちらつかせると、鋭い目で睨まれた。
 
「あんた、さっきから何言ってんの??」

「何って」
 
 まさか、私にバレてないとでも思ってるの?
 岡田が運転しながら、時折り、答えを欲するように私に視線をやる。
 
 じゃあ、言うわよ?
 遠回しには言わないわよ?
 
「だって、岡田さんは!……」
 
 やっぱり、本人目の前に口に出すにしては直接的過ぎる。
 
 躊躇って、一度、言葉を切った。
 
「俺は、なんだ?」
 
 だけど、他に該当する言葉が見当たらない。
 BLって多分わからないだろうから。
 
「ゲイですよね?」
 
「げ?!」
 
 大きく声を上げた岡田が、ハッとしたように急ブレーキを踏み、突然、バスを急停車させた。

 席から立っていた私は、ガクン! とよろめき、運転席の岡田の肩に倒れかかった。
 
「危ないじゃない! 動揺しすぎ! いくら図星だからって……」
 
「イノシシ」
 
「え?」
 
 
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