一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 この前、降ろされた場所に既に岡田が来ていた。
 住宅街から少し抜け出た先にある、駅そばのバス停。
 
 そこに止まった軽自動車を覗き込むと、相変わらずの無愛想な顔があった。
 
「おはようございます……意外な車に乗ってますね」
 
「普段、大型車を乗り回してると、プライベートでは小さい車に乗りたくなるんだ」
 
「やっぱりバスは気疲れするんですね」
 
「これみたいに小回り効かないからな」
 
「じゃあ、二日間よろしくお願いします」
 
 助手席に乗る前にお辞儀をすると、何が可笑しいのか、岡田はフッと笑った。
 
「休日もお堅い奴」
 
 今日は、彼の自家用車で宮崎県に行く。
 
「半分、仕事だと思ってますから」
 
 宮崎の救急病院に入院していた赤石さんを、迎えに行く為だ。


 
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