一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「なんだよ、じろじろ見んなよ」
 
 視線に気が付いた岡田が、軽く私を睨む。

「お、思ったより早かったな」

丁度その時、頼んでいたつけ麺が運ばれて、聞きたかった事を麺と一緒に飲み込んだ。


 ✴
 
「チェックインには早いし、赤石婆さんの病院に行ってみるか」

「あ、はい」
 
 岡田は、時計を見てスマホを取り出し、病院に電話をかけていた。

「入院費は、院内のATMから引き出して精算するって。生命保険の入院保障も帰ってから書類を送るみたいだ」
 
  岡田は赤石さんと話せたようだ。
 
「明日の退院時に着る服がないってよ。洗濯に行くか?」
 
「そうね。そうする」
 
 赤石さんの事、ずっと気になってはいたけど、物理的にも考えていたのは岡田の方だった。
 
 私ってば、添乗員の癖に段取り悪い。
 
「あと、ごま豆腐が食いたいって」
 
「ごま豆腐………」
 
  さすがにそれは院内の売店にはないかも。
  私と岡田は、病院へ行く前にスーパーに寄った。




 






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