一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 スーパーの売り場で、岡田と並んで歩いていると、何となくこそばゆい。
 
 きっと、夫婦でも恋人でもないのに、生活感ある場所にいるから。
 
「ごま豆腐だけって変じゃない?お見舞いに」
 
「どうせ明日退院するし、花を持っていっても迷惑だろう。あと食いもんも何でもいいってわけじゃないだろうしな」
 
「そうだよね」
 
「明日いきなり迎えじゃ、あっちも気を遣うだろうから、今日は、ちょっと話し相手になればいいんじゃない?」
 
「………うん」
 
 岡田は、私より先に店内を歩いていき、酒類のコーナーで立ち止まった。
 
「今日は、仕事じゃないし」

「え?」
 
「部屋飲みするか?」
 
 振り向きざま、凄い事を言った。
 
 え? もしかして、私を誘ってるの?

 
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