一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 お酒は車に置いたまま、ごま豆腐だけを持って、赤石さんを見舞う。
 岡田は、何故か私の後ろを付いてきた。
 
「こんにちは、おかげんいかがですか?」
 
 ノックしてドアを開けると、赤石さんはカメラのレンズを此方に向けていて、パシャッと乾いた音を響かせた。

「あら、運転手さんかと思ったら、添乗員さんだったわ」
 
 カメラをずらして私を見た赤石さんは、ちょっと残念そうな声を出した。
 なるほど。こういうことか。
 
「私も宮崎に用があって、岡田と一緒に来たんです」
 
 私がそう言うと、岡田が後ろからヒョイッと顔を出した。
 
 
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