一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「どこかで咲いてたんだねぇ、ありがとう」
 
 赤石さんがお礼を言うと、岡田は、少し照れたように、「年寄りは押し花とか好きだろ」と、可愛くない事を言っていた。

「それにしても」
 
 赤石さんが、ごま豆腐のパックを開けながら、私をチラッと見上げた。
 
「………それにしても?」
 
「まさか、こっちだとはねぇ。私は、てっきり蛯原さんの方かと思ってたよ」
 
 そして、フフ………と不敵に笑う。
 
「え?」
 
 こっち? 蛯原? どういうこと?
 
「どっちも違うわ」
 
 
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