一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 私は、頷くしかなかった。
 ごま豆腐の一口目は、甘くて冷たくて、すぐに溶けていった。
 
「だからね、あんたも、好きな男がいたら精子を奪い取るくらいの気持ちで、乗っかりなさいよ?」
 
 二口目は、ちょっと吹いてしまったけど。

「そ、そうですね。好きな人が出来たら、迷ってる暇はないですね、そうします」
 
 結婚して、子供が産まれて………、そしたら親に心配をかけなくて済む。
 
 わかってはいても、これぱっかりは縁だから。
 
 ごま豆腐を食べてしまうと、甘さのためか口の中がベタベタした。
 水が欲しいと思っていたら、

「あの運転手のおにいさんも、一度、家庭を失ってるみたいだから、次は大事に壊れないようにすると思うけどね」
 
「えっ」
 
  赤石さんが、今度はガムを差し出す。
 
 
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