一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「ほら、歯磨きガム」
 
「ありがとうございます。………岡田がバツイチって、そんな話、いつしたんですか?」
 
  離婚歴あるなんて、蛯原さんも知らなかったのに。
 
「いつだったっけ? あー、そうそう、あんたが鼻血大量に出す前だよ」
 
「あ、あの時は大変お世話になりました」
 
「私は、別に何もしてないよ、それより、ガム食べてスッキリしたら?」
 
 やけに赤石さんがすすめるので、そのガムを食べようと包みを開けて――
 
 真っ赤。

 これ、絶対に唐辛子味のガムだ。
 
 私は、そっとガムをポケットに入れて、赤石さんに微笑んで見せた。
 
 赤石さんが、小さく舌打ちしたのを見逃さなかった。








 
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